災害時に薬剤師が行う情報収集-PHARMACIST・いざくすりや-
PHARMACISTとは、薬剤師が行う避難所のアセスメント項目の頭文字をとり、ひな形としたものです。
予めこの順序で伝達されることが情報を発信する側と受ける側の共通認識であれば、聞き漏れや情報の誤解がなくなると考えられます。
PHARMACISTは10項目ととても多いので、簡易版の「いざ くすりや」が使われることもあります。
医療従事者全般の災害時の情報収集のひな型として「METHANE」や「いざききかんり」があります。
本記事では、それらが何の頭文字になっているのか紹介していきます。
PHARMACIST
P:Place & Population「場所、人数、密度」
避難者300名、体育館の広さは50m×30m、校舎は3階建て、30%使用中
H:Hazard「危険、障害」
余震あり、建物被害なし、高台にあるため津波の危険なし
A:Access「経路」
住所は〇〇、車で到達可能
R:Refugee「避難者の性別、年齢、災害弱者」
男女比は半々、高齢者が3割、乳児10名、妊婦3名
M:Medicine「医療ニーズ&薬事ニーズ(在庫管理、ハイリスク薬剤)」
医療ニーズ未聴取、薬剤未整理
A:Atmosphere「環境整備、公衆衛生管理」
電気・ガス・水道は機能していない、暖房設備なし、トイレは不潔
C:Communication「通信ツール、関連部署」
携帯電話は通信困難、衛星電話なし
I:Infection「感染管理」
インフルエンザ患者3名あり
S:Support「他団体、他の医療チームなど」
DMAT1チームあり。その他ボランティア団体3チームあり。
T:Transport「輸送(医薬品、患者等)」
医療機関は近くにない。
いざくすりや
い:医療班の介入の有無
ざ:避難所における薬剤在庫の有無
くす:すぐいるクスリの需要の有無
り:薬剤の流通状況
や:病の構造
METHANE
M:My call name, major accident
名乗り、災害の存在を伝える
E:Exact location
正確な場所を伝える
T:Type of accident
災害の種類を伝える
H:Hazard
考えられる危険を伝える
A:Access
現場にはどのようにしてたどり着けるのか伝える
N:Number of casualties
負傷者数を伝える
E:Emergency services
現在活動中の組織を伝える
いざききかんり
い:いつ、どんな
災害の種類など
ざ:座標
正確な場所の把握
き:危険
現状の危険性と今後の危険性の拡大の有無の判断
き:緊急機関
現在対応中の部隊と今後必要になってくる部隊
かん:患者数
患者数、負傷者数の把握
り:利用経路
車両の進入経路や目的地点
薬事トリアージとは
※薬事トリアージという名前から、災害時のみに薬剤師に求められることと勘違いしてしまうかもしれませんが、つまるところ行うことは普段の薬剤師の業務と変わりはありません。
患者さんの具合が悪くなればお医者さんに診てもらう。
OTCで対応出来るなら、それで対応する。
ただそれだけです。
以下、一応説明です。
薬事トリアージとは、
・限られた薬剤量などの様々な制約がある状況で、できるだけ多くの傷病者の対応を行うために、傷病者の選別を行い薬剤処方における優先度を判断し、効率よく薬剤処方・投与を行う
・OTC薬(処方せんなしで買える医薬品)で対応可能な場合と、医師による診療が必要な場合を振り分ける
というものです。
一般的に医師等が行うトリアージとは異なるため、優先度分類の意味付けも異なっています。
赤(PT1):医師の診察を必要とする。
黄(PT2):薬剤師がお薬手帳の情報をもとに投薬することが可能と判断できる。
緑(PT3):OTC薬で対応。
白(PT4):情報提供のみで投薬は要さない。
実際、薬事トリアージを行う対象は避難所にいる避難者でありその多くが「緑タグ」であることに注意してくださいね。
そこから、薬剤処方等を希望するか必要な人に薬事トリアージを行ってPT1〜PT4に分けていきます。
災害薬事トリアージのチャートは次の通りです。
まずは、第一印象から始めます。冷や汗をかいていたり、呼吸が苦しそう、呂律がまわらない等を見ます。この時点で明らかに医師の診断を要すると判断できればPT1となります。
第一印象が問題ないと、症状・主訴・希望を聴取し、お薬手帳を出してもらい、既往歴・アレルギー歴を確認します。
希望があったときに、自分の出来うるフィジカルアセスメントを行い、不安定ならPT1、安定していればPT2となります。
希望はないが、何らかの対応を要すると思われる症状に対してはOTC薬で対応するPT3、対応できないならPT1、症状がそもそもなければPT4と判断できます。
災害薬事支援の原則-CSCAPPPとは-
ここでは、災害支援活動について薬事関連に重点を置いて説明します。
CSCAPPPとは
災害支援における原則は、以下のページに書いてある通りで、医療支援を行う前にはCSCAを確立することが重要です。
ここまでは、全ての医療従事者に共通しますが、ここからが少しだけ異なります。
通常ならCSCAを確立した後は、TTT(Medical support)を行いますが、薬事支援に携わる人は特にTTTの部分をPPP(P:pharmaceutical triage, P:preparation, P:provide medicines)として置き換えて考えることが出来ます。
自分達の職能をしっかり理解し発揮することが、効果的な災害医療支援につながります。
①P:pharmaceutical triage【災害薬事トリアージ】
災害薬事トリアージには
・人へのトリアージ
・医薬品のトリアージ
の2種類があります。
人へのトリアージ
人へのトリアージは、限られた薬剤でより多くの人を救うにはどの患者になんの薬を提供するのが良いか選別することです。
ここで、疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれません。
処方せん医薬品は医師からの処方せんがないと販売できないから、薬剤師がどの薬を患者に提供すればよいか判断する必要はないのではないか。
確かに通常時はそうなんです。
薬事法には、
医薬品の販売業者(薬剤師等)は、医師等からの処方せんを受けた患者以外の者に対して、正当な理由なく、処方せん医薬品を販売してはならない。
ここで、正当な理由として該当するのが以下の事項です。
① 大規模災害時等において、医師等の受診が困難な場合、又は医師等からの処方箋の交付が困難な場合に、患者(現に患者の看護に当たっている者を含む。)に対し、必要な処方箋医薬品を販売する場合
簡単に理解できるように改変してあるので興味のある方は、以下のページで読んでみてください。
平成23年東北地方太平洋沖地震における処方箋医薬品の取扱いについて(医療機関及び薬局への周知依頼) |緊急情報|厚生労働省
つまり、災害時においては薬剤師の判断で患者さんに処方せん医薬品を提供しなければならないケースがあるということです。
そうでなくても、医師から処方せんを受け取った時に、自分の意見をしっかり言える薬剤師の方がいいですよね!
医薬品のトリアージ
医薬品のトリアージとしては、緊急に必要な薬剤の選別や備蓄、支援薬剤の選別等が含まれます。
②P:preparation【準備】
場所の確保、人員の確保、医薬品、調剤機器の確保などをし、処方支援、処方せん発行支援、在庫医薬品のリスト化を行うことが求められます。
さらに環境を整えた後に、調剤時には調剤上の工夫、患者情報収集、服薬管理状況を把握することも求められます。
モバイルファーマシーの導入により、調剤環境や医薬品供給の流れが大きく変わろうとしています。
③P:provide medicines【医薬品供給・調剤】
災害時には、平時には供給しないような新しいところへ医薬品を供給しなければなりません。
供給体制をしっかりと確立することが、医療支援活動が成功するかどうかの大事なカギとなります。
医薬品を供給すべきところとしては、
・災害拠点病院
・災害支援病院
・一般病院
・保険薬局
・避難所
・救護所
・医療チーム
などです。
一口に供給といっても、使用できる医薬品の在庫量の一覧表の作成、医薬品の種類・量・優先順位の決定、発注先・発注方法の確保、保管・管理体制の構築、輸送方法の確保などの、ロジスティクス的な業務が求められます。
【参考文献】
災害医療の原則-CSCATTTとは
英国の標準的教育プログラムMIMMSによると、いずれの災害に対するアプローチも単一のコンセプトによって行うことができるとされている。
このコンセプトこそがCSCATTTである。
これは、発災直後にとるべき行動のそれぞれのアルファベットの頭文字をとって並べたものであり、災害医療に携わる者なら誰しも知っておくべき用語で、発災直後の行動の基盤となる考え方である。
MMAT研修交流集会に150人 「災害対策本部」とは―― 設置や運営を学ぶ – 全日本民医連
CSCAをメディカル・マネジメント(医療管理)、TTTをメディカル・サポート(医療支援)と呼ぶ。
メディカル・マネジメント
①C:Command&Control【指揮、統制】
災害医療では、組織的に無駄なく混乱なく活動することが求められる。
そのためには、各機関内でのタテの指揮命令系統(Command)と関係各機関の各レベルでのヨコの連携(Control)の確立が必要である。
②S:Safety【安全】
活動において安全は第一優先されることは言うまでもない。
安全の3Sを意識することが必要とされる。
③C:Communication【情報伝達】
災害時対応で失敗する原因でもっとも多いものは情報伝達の不備である。
情報伝達がままならないと、本部から末端への命令が伝わらず、指揮命令系統の確立や他機関との連携は困難となる。
情報伝達の障害の原因としては
①情報基盤の障害・・・停電や断線により、電話やインターネットがダウンしたり、回線がパンクしたりして、携帯電話の使用が困難になる。
②情報伝達機器の取り扱い方法の習熟不足・・・衛生電話やトランシーバーの使い方が分からない。
③不適切な通信方法・・・復唱の欠如、専門用語や略語を使用することにより、正確な意志疎通が取れない。
などがある。
④A:Assessment【評価】
集められた情報を分析し、精査することによって活動方針を立てる一連の活動。
メディカル・サポート
①T:Triage【トリアージ】
災害時は医療資源が限られるので、最大多数の傷病者に最善の医療を提供するために限られた人的・物的資源を最大限に活用し、傷病の緊急度や重症度を迅速に評価し、治療や搬送の優先順位を決定する。
これをトリアージと呼ぶ。
②T:Treatment【治療】
災害時の治療には、安定化治療(処置)と根本治療に大別される。
安定化治療はA(気道)、B(呼吸)、C(循環)の確保。
根本治療は、手術など設備の整った病院で行える治療。
できるだけ早期に根本治療を行うことが救命の鍵であるが、災害時に被災地内の病院で根本治療をすることが困難で搬送にも時間がかかるため、安定化治療を行いつつ搬送する必要がある。
③T:Transport【搬送】
災害時は適切な搬送が生死を分ける。
適切な搬送のためには
①搬送される患者の情報
②搬送手段の情報
③搬送先の情報
④搬送中の医療の提供の情報
の調整が必要。
搬送中も医療の継続が不可欠である。
CSCAが確立してからTTTを行うことが標準的である。
大災害時の薬剤師の役割
大災害時の薬剤師の役割を、活動場所ごとに紹介する。
被災地病院内
外来患者への薬の調剤
忙殺されている医師の負担軽減のために、医師の処方箋無しに薬剤師が単独で調剤する必要がある。
入院・救急患者対応のための医薬品確保
備蓄医薬品を確認し、薬剤使用を制限したり、卸・薬剤師会等と連携し、診療継続に必要な医薬品を確保することが求められる。
緊急医療救護所での災害薬事トリアージ
医療救護所
医薬品の調達・保管・管理
調剤
災害時は調剤室以外での調剤が特例で認められる。
薬事カウンターでの災害薬事トリアージ及び服薬指導
避難所
保健・公衆衛生活動
避難所の環境アセスメントを実施し、薬の使い方の指導等も薬剤師に期待される。
医薬品集積所
大災害時には、大量の支援物資が送られてきて、その医薬品の仕分けに大変な労力が費やされる。
支援医薬品を一方的に被災地に送ることは、却って被災地の労力負担を生むことになるため、3日分の医薬品備蓄と卸を通じた供給が標準になるべきである。
災害医療の目的ー防ぎえる災害死
そもそも災害医療とは何を目的とする分野なのか。
医療技術をもって、直接的な災害死を防ぐのは困難である。偉大な自然の力には医療技術は為す術がない。津波を医療で防ぐことはできない。
大事なポイントから先に述べると、災害医療のターゲットは防ぎえる災害死(災害関連死:preventable death)をいかに減らすかということである。
特に薬学の観点からであるが、ライフラインの途絶や燃料不足、医薬品などの物資の供給不足などにより、多くの医療機関や診療機能が低下し、十分な保健医療や公衆衛生的対応が取れないことによって多くの死が招かれる(災害関連死)。これに対して通常と同等、もしくはそれ以上のレベルで対応することが災害医療では大事になってくる。
では、防ぎえた災害死の原因にはどのようなことがあるのか。
二つのデータを紹介する。
医師10名による全1006の死亡症例に基づくデータ
厚生労働科学研究「防ぎ得る災害死の評価手法について個々の死亡症例検証に関する研究」で被災地内40施設すべてを訪問し2011年3月11~31日に死亡した全1006症例のカルテを協議した結果、防ぎ得た災害死は141症例(14%)であった。
その原因は
- 医療物資不足
- 常備医薬品の不足
- 医療介入の遅れ
- ライフラインの途絶
- 避難所の環境/居住環境悪化
などであった。
(避難所内の様子)
(食中毒注意のビラ )
(避難所のごみ)
復興庁の震災関連死に関する検討会報告書に基づくデータ
復興庁が被災自治体を通じて集計している「災害関連死」は、2014年3月末時点で3086名にのぼる(警察庁発表の東日本大震災の直接的な死者・行方不明者数1万8486名)。その死亡に至った内訳は、
- 避難所における生活の肉体・精神的疲労(33%)
- 避難所等への移動中の肉体的・精神的疲労(21%)
- 病院の機能停止による既往症の増悪(15%)
- 地震・津波のストレスによる肉体・精神的疲労(8%)
- 病院の機能停止による初期治療の遅れ(5%)
- 原発事故による肉体・精神的疲労(2%)
であった。
死亡場所として、病院・介護施設や、自宅などの普段の生活場所がそれぞれ3割ずつ、避難所滞在中が1割であった。
死亡の具体的状況としては
- 冷たい床の上に薄い毛布一枚
- 濡れた衣服のまま数日間過ごす
- 避難所という狭いスペースで過ごすことにより疲労困憊
- 断水でトイレを心配し、水分を控えることにより脱水
- 歯が悪く、配給されたものが食べれない
- いつもの剤形の薬でないものを処方され、服用できない
- ヘルパーが来ない
- 病院が閉鎖され、自宅療養を続ける
- 避難先が決まらず、玄関先で長時間待機
- 避難所などを転々とした
などがあった。これに関しては、医療云々の話以前に、食料や生活環境の問題であり、医療従事者のみならず、支援する側全ての人の心がけ1つでたくさんの命が救えたのではないかと思われる。
(花山コミュニティセンター避難所裏に設置された仮設トイレ )
【画像提供】
災害写真データベース
http://www.saigaichousa-db-isad.jp/drsdb_photo/photoSearchResult.do
【参考文献】
災害薬事標準テキスト
監修:日本集団災害医学会
編集:大友康裕
わが国の災害対応体制についてーどのような法律があるのか?
日本は、世界的に見ても災害の多い国である。そのため、災害対策のレベルは世界的に誇れるものである。そこでここからは、わが国の災害対応体制についてまとめる。
今回は災害対策に関する法律の体系についてみていく。
災害に関する法体系
災害に関する法体系は ①災害対策基本法、②災害関連法令 の二種類の法律による。災害対策の法令は、②災害関連法令によって個別的な事項が定められていれば、まずはそれが適用され、特別の定めがない場合には①災害対策基本法が適用される。
①災害対策基本法:災害対策全般のことを定めた一般法
②災害関連法令:災害救助法、被災者生活再建支援法といった個別的な事項の対応を定めた特別法
災害対策基本法
災害対策基本法は、わが国の国土ならびに国民の生命、身体および財産を災害から保護し、もって、社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的として、災害対策の基本となる事項を定めたものである。1959年の伊勢湾台風(死者・行方不明者5,098人)を契機として1961年に制定された。
法の内容は以下の通り。
防災に関する責務の明確化
国、都道府県、市町村及び指定公共機関:防災に関する計画を作成し実施する責務。
相互に協力する責務など。
住民:自発的に防災活動へ参加するよう努力する責務など。
防災に関する組織
国に中央防災会議を、都道府県に都道府県防災会議を、市町村に市町村防災会議をそれぞれ設置する。
災害の発生やその恐れのある場合には、地域防災計画に定めるところにより都道府県または市町村に災害対策本部を設置する。災害の規模によっては、国においても、非常(もしくは緊急)災害対策本部を設置する。
非常(緊急対策本部)の長(国務大臣または内閣総理大臣)は、各機関の長に必要な指示をすることができる。
計画的防災行政の整備
防災計画について-内閣防災担当http://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/...arikata/.../shiryo2.pdf
災害対策の推進
災害対策を災害予防、災害応急対策および災害復旧という各段階に分け、それぞれの段階ごとに各実施責任主体の果たすべき役割や権限を規定している。
⑴災害予防
- 防災組織の整備
- 防災訓練の実施
- 防災施設の整備
- 物資・資材の備蓄
⑵災害応急対策
- 消防、水防団、警察などの出動命令
- 被害状況の報告
- 避難指示・勧告
- 警戒区域の設定、立ち入りの制限・禁止、退去命令
- 応急公用負担(土地、建物等の一時使用、住民・現場にある者への従事命令)
- 医療、土木建築工事、輸送関係者への従事命令
- 交通規制 など
⑶災害復旧
- 補助金などの早期交付など
防災予防等に要する費用負担
災害予防および災害応急対策に関する費用は、その実施責任者が負担する。しかし著しく激甚である災害(激甚災害)は、地方公共団体に対する助成等を行うこととしている。
災害関連法令(災害救助法)
災害救助法は、災害に対して、国が地方公共団体、日本赤十字社などの団体と国民の協力のもとに、応急的に必要な救助を行い、被災された方の保護と社会の秩序を守ることを目的とした法律である。(災害関連法令の中でもDMAT活動に密接な関わりのある災害救助法を取り上げる)
法の内容は以下の通り。
災害救助法における「救助」とは
本法において救助とは、災害時に食べ物やその他の生活必需品の欠乏、家の倒壊、ケガなどにより助けを必要とする被災者に対する応急的、一時的な救助を指す。
都道府県知事が救助の実施にあたり、市町村長がこれを補う。
救助に関する都道府県の義務
都道府県知事は常に防災に努めなければならない。
救助の種類
この法律における救助には次の通り。
物資の保管命令、収容、立ち入り検査
指定行政機関(内閣府、厚生労働省等)の長及び指定地方行政機関の長は防災業務計画に従い、救助に必要な物資の生産、販売、輸送等を行うものに対し物質の保管を命じ、または物資を収容することができる。または、物資を保管する場所に立ち入ることもできる。
救助業務従事の指示
都道府県知事は、医療、土木建築工事、輸送関係者等を救助に関する業務に従事させることができる。その場合、実費を弁償しなければならない。またこれにより負傷した場合、扶助金を支給しなければならない。
応援指示
内閣総理大臣は、都道府県知事行う救助について、他の都道府県知事に対して応援をするよう指示することができる。
日本赤十字社の救助への協力義務
日本赤十字社は、その使命に則り救助に協力しなければならず、都道府県知事は救助またはその応援の実施に関して必要な事項を日本赤十字社に委託することができる。
費用の負担
救助に関する費用は、救助の行われた地の都道府県がこれを負担する。他の都道府県が応援をした場合の費用については、その都道府県が救助の行われた都道府県に対して、請求することができる。
国庫負担
国は、都道府県が救助に要した費用の一部を負担することになっている。救助に要した費用の都道府県の税収との割合に応じて負担する額が異なってくる。
災害救助基金の積み立て
都道府県は救助に必要となる費用の財源に充てるため、災害救助基金を積み立てなければならない。
【参考文献】DMAT標準テキスト