災害薬学ラボ

災害医療への玄関口

災害時における薬剤師の支援活動

 阪神淡路大震災新潟中越地震に続き2011年3月11日に東日本大震災が発生しました。

 

 地震の規模を示すマグニチュードはMw9.0で、日本の観測史上最大規模の地震であり、1995年の兵庫県南部地震阪神・淡路大震災)、2004年の新潟県中越地震以来、観測史上3回目の最大震度7を観測しました。この地震とそれに伴う津波、およびその後の余震は東北から関東にかけての東日本一帯に甚大な被害をもたらし、数多くの医療チームが被災者の救援に駆けつけました。

災害医療特殊部隊のイラスト

 

  しかし、その医療チームに薬剤師がいたことは世間ではあまり知られておりません。実際、東日本大震災において薬剤師は医療チームの要となり、「おむつと、、、薬剤師が足りません」と、全国放送で流されたほど活躍しておりました。

 

 そこで今回は、東日本大震災における薬剤師の支援活動を紹介します。

医薬品集積所における医薬品等の仕分け(薬効別分類)、出入管理、品質管理、避難所・救護所からの要望に応じた医薬品の供給
医療救護所や仮設診療所などにおける調剤及び服薬指導
医薬品使用に関する医師や看護師への情報提供
  • 医療救護所の限られた医薬品で最良の処方・治療ができるよう、医療救護所内の医薬品の在庫を把握し、医師に対し使用できる同種同効薬の選択・提案などを行った(処方支援)。看護師等にも在庫医薬品に関する情報を提供した。
使用薬等の聞き取り、医薬品の鑑別・特定、お薬手帳の活用に取り組んだ。
  • 医療救護所での診察前に、被災者から平時に使用している慢性疾患使用薬を聞き取り、医薬品の鑑別・特定を行い、お薬手帳へ医薬品名等を記載した。過去の薬剤服用歴がないことから、アレルギー歴・副作用歴等についても確認し、お薬手帳に記載した。
  • 医療救護所で調剤・交付した薬剤名等をアレルギー歴・副作用歴と共にお薬手帳に記載し、他の医療機関で診察を受ける際には、お薬手帳を提示するように勧めた。
医療救護所の設置されていない避難所への巡回診察に同行した。
避難所における一般用医薬品の保管・管理及び被災者への供給を実施した。
  • 一般用医薬品で対応が可能と考えられる被災者に対しては、医療チームの連携の下で薬剤師が症状等を聞き、適切な一般用医薬品を供給した。一方、一般用医薬品では対応が難しいと考えられる被災者に対しては受診を促した(薬事トリアージ)。
  • 避難所生活の長期化の影響に伴う栄養バランスの悪化に対し、総合ビタミン剤等の供給を行った。
避難所における医薬品や健康に関する相談活動を実施した。
公衆衛生活動(避難所における衛生管理および防疫対策への協力)に取り組んだ。
  • 感染症対策:梅雨シーズンおよび夏期におけるノロウイルスサルモネラ菌、病原性大腸菌等の感染対策として、また、冬期におけるインフルエンザ対策として、仮設トイレやドアの把手等の消毒を薬剤師会として行った。また、「手洗いやうがいの励行」「手指消毒」「塩素系漂白剤での靴裏の消毒」等の呼びかけを薬剤師会として行った。
  • 害虫駆除:夏場に大量発生するハエや蚊などの害虫対策として、被害の大きい地区の避難所に殺虫剤および簡易噴霧器を配布するとともに、仮設トイレやごみ置き場で殺虫剤の散布方法の説明を薬剤師会として行った。

 

【参考文献】

『DMAT標準テキスト 日本集団災害医学会 (著)』

ドキュメント東日本大震災 そのとき薬剤師は医療チームの要になった (日経DIブックス1) 日経ドラッグインフォメーション 東日本大震災取材班 (著)