災害薬学ラボ

薬剤師×災害×医療

薬事トリアージとは

※薬事トリアージという名前から、災害時のみに薬剤師に求められることと勘違いしてしまうかもしれませんが、つまるところ行うことは普段の薬剤師の業務と変わりはありません。
患者さんの具合が悪くなればお医者さんに診てもらう。
OTCで対応出来るなら、それで対応する。
ただそれだけです。

 

以下、一応説明です。

 

薬事トリアージとは、


・限られた薬剤量などの様々な制約がある状況で、できるだけ多くの傷病者の対応を行うために、傷病者の選別を行い薬剤処方における優先度を判断し、効率よく薬剤処方・投与を行う

OTC薬(処方せんなしで買える医薬品)で対応可能な場合と、医師による診療が必要な場合を振り分ける


というものです。

 

一般的に医師等が行うトリアージとは異なるため、優先度分類の意味付けも異なっています。

赤(PT1):医師の診察を必要とする。
黄(PT2):薬剤師がお薬手帳の情報をもとに投薬することが可能と判断できる。
緑(PT3):OTC薬で対応。
白(PT4):情報提供のみで投薬は要さない。

 

実際、薬事トリアージを行う対象は避難所にいる避難者でありその多くが「緑タグ」であることに注意してくださいね。
そこから、薬剤処方等を希望するか必要な人に薬事トリアージを行ってPT1〜PT4に分けていきます。

 

災害薬事トリアージのチャートは次の通りです。


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まずは、第一印象から始めます。冷や汗をかいていたり、呼吸が苦しそう、呂律がまわらない等を見ます。この時点で明らかに医師の診断を要すると判断できればPT1となります。
第一印象が問題ないと、症状・主訴・希望を聴取し、お薬手帳を出してもらい、既往歴・アレルギー歴を確認します。
希望があったときに、自分の出来うるフィジカルアセスメントを行い、不安定ならPT1、安定していればPT2となります。
希望はないが、何らかの対応を要すると思われる症状に対してはOTC薬で対応するPT3、対応できないならPT1、症状がそもそもなければPT4と判断できます。

 

災害薬事標準テキスト

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